01労働におけるジェンダー問題についての日本の現状

日本社会には、いまだにジェンダーの枠組みが残っているといわれています。
このような問題を改善するために、1970年後半から1980年にかけては男女平等政策が、1985年には男女雇用機会均等法が導入されるなど、ジェンダー運動は次第にさかんになってきています。しかしながら、現状はというと「男は仕事、女は家事」という言葉が示すよう、あいかわらずジェンダーギャップが取り払えていないように感じることがあります。

昨年、わたしが就職活動をおこなっている際にも、とある企業に、面接時「あなたは、結婚して子どもができても会社を続けますか?」と聞かれたり、「女性の総合職は募集していないんですよ」と言われたりすることがありました。多くの会社を訪問する中で、男女の雇用形態や待遇が異なるなど、古い考え方が残る会社はずいぶん存在するんだなということを、身をもって感じたのです。

では、実際に日本社会で働く女性はどのような立場にあるのでしょうか。
「雇用形態別にみた役員を除く雇用者(非農林業)の構成割合の推移」(第19図)を見てみましょう(内閣府「男女共同参画白書 平成18年度版」より)。グラフからは、正規の職員・従業者の割合は圧倒的に男性が女性を上回っており、女性の割合は、昭和60年から平成17年にかけて少しずつ減少していることが読み取れます。その反面、パート・アルバイトの割合が急速に増えています。加えて、派遣社員や契約社員の割合も増加しています。このことから、女性の雇用者割合は男性に比べて依然として少なく、働くとしても正社員ではなくパートや派遣といった非正規の雇用形態が多いといえます。

これは、仕事と家庭の両立が難しくなった場合、女性が家庭を優先せざるを得ない状況にあることを示しており、その結果、女性が男性と対等に働く機会が少なくなっているのではないかとわたしは考えます。

それでは実際、仕事と家事・育児等における男性と女性の違いはどれくらいあるのでしょうか。
「男女別育児休業取得者割合」を見ながら比較していきます(厚生労働省「平成16年度女性雇用管理基本調査」より)。
グラフを見ると、育児休業取得者の割合は、女性が96.1%、男性が3.9%であり、その差は明らかです。
また、出産した女性労働者が育児休業を取得する割合は70.6%と高いですが、配偶者が出産した男性労働者が取得する割合は0.56%とかなり低いです。

これらの結果から、在職中に子どもが生まれた場合、育児休業を取るのはほとんど女性であるということがわかります。
改善されてきているとはいえ、やはり「男は仕事、女は家事」といったステレオタイプは、あいかわらず日本社会に残っているのではないでしょうか。